
早乙女菜々星、29歳。結婚して3年目。
夫は同じテレビ局で働く敏腕プロデューサーで、
上司や部下からの信頼も厚く、誰もがうらやむエリート。
おまけに愛妻家としても評判が高く、
周囲からは「理想の結婚」とうらやましがられていた。
けれど実際は違う。菜々星の毎日は、夫の細かい束縛にしばられていた。
今日着ていく服まで指示され、都外に出ることさえ許されない。
亡き母の遺品整理に千葉の実家へ行きたいと願っても、
それすら叶わない。表向きは幸せに見えて、
心はいつも押しつぶされそうになっていた。
そんなある日、夫が一泊の出張に出る。
ほんのわずかな自由に「このままではおかしいのでは」
と胸の奥で疑問がわいた。
勇気を出して出かけた美容院で出会ったのは、美容師の修也。
気取らず、あたたかく言葉をかけてくれる彼の存在に、
見失った自分の心が徐々に解放されていき――。
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